三浦哲郎

『BUNGO〜ささやかな欲望〜』の中では、一番若手になる作家が三浦哲郎ではないでしょうか。

そして三浦哲郎は昭和と平成と時代を生きた作家です。そして芥川賞の選考委員を務めていたことでも知られています。

三浦哲郎略歴

青森県八戸市三日町の呉服屋「丸三」の三男として1931年(昭和6年)3月16日に生まれました。 青森県立八戸高等学校へ進学して、八戸高校の籠球部時代には「はやぶさの哲」と呼ばれていました。

1949年(昭和24年)に高校を卒業して、早稲田大学政治経済学部経済学科へ進学しましたが、1950年(昭和25年)に次兄が失踪したため、大学を休学して父の郷里の金田一村湯田(現在の二戸市)に帰郷、して八戸市立白銀中学校で助教諭として体育と英語を教えました。やがて小説を書き始めて、1953年(昭和28年)に早稲田大学第一文学部フランス文学科へ再入学しました在学中の1955年(昭和30年)新潮同人雑誌賞を受賞しました。大学卒業後は作家活動に入り、1961年(昭和36年)『忍ぶ川』で芥川賞を受賞しています。前半生の陰鬱さが作風に表れながらも、南部地方らしい男女の情緒の描き出し方に一定の評価を得ることになりました。1965年(昭和40年)NHK朝の連続テレビ小説『繭子ひとり』の原作を書いて、1971年(昭和46年)に刊行した児童文学「ユタとふしぎな仲間たち」も、NHK少年ドラマシリーズになりました。劇団四季によってミュージカル化されて何度も上演されています。

1976年(昭和51年)『拳銃と十五の短編』で野間文芸賞を受賞したことで、文壇的地位を確立しました。不幸な女性や、故郷青森の風土を背景とした貧しい人々を描き、『おろおろ草紙』では江戸時代の東北の飢饉を描いています。『白夜を旅する人々』では、一家に遺伝する病気を描いています。また川端康成文学賞受賞の短編「じねんじょ」を含んだ「短編集モザイク」シリーズも、こうした素材をリリシズムをもって描く作風で知られています。『少年讃歌』では天正遣欧使節を描いて新境地を開いています。

1984年(昭和59年)~2003年(平成15年)まで芥川賞選考委員を務めています。当時の選考委員には石原慎太郎もいます。逸話として、綿矢りさの『蹴りたい背中』に懐疑的な意見を示していました。

1988年(昭和63年)日本芸術院会員となり、やまなし文学賞選考委員を務めています。高校の先輩だった松下正寿の母や、同じ青森県出身である太宰治亡き後の晩年の生活を送る井伏鱒二とも親交がありました。

2010年(平成22年)8月29日、鬱血性心不全のため亡くなりました。(満79歳没)

受賞歴

  • 1955年(昭和30年)・・・ 『十五歳の周圍』で新潮同人雑誌賞
  • 1961年(昭和36年)・・・『忍ぶ川』で第44回(1960年下半期)芥川龍之介賞
  • 1976年(昭和51年)・・・ 『拳銃と十五の短篇』で第29回野間文芸賞
  • 1983年(昭和58年)・・・ 『少年讃歌』で日本文学大賞
  • 1985年(昭和60年)・・・ 『白夜を旅する人々』で大佛次郎賞
  • 1990年(平成2年)・・・ 「じねんじょ」で川端康成文学賞
  • 1991年(平成3年)・・・ 『みちづれ』で伊藤整文学賞(小説部門)
  • 1995年(平成7年)・・・ 「みのむし」で川端康成文学賞

著書

  • 1961年(昭和36年)・・・忍ぶ川 (新潮社 のち文庫)
  • 1961年(昭和36年)・・・初夜 (新潮社)
  • 1963年(昭和38年)・・・湖影 (集英社 のち加筆:改題『水の中の神話』)
  • 1963年(昭和38年)・・・揺籃 (東方社)
  • 1964年(昭和39年)・・・団欒 (新潮社 )
  • 1964年(昭和39年)・・・風の旅(学習研究社:芥川賞作家シリーズ)
  • 1964年(昭和39年)・・・兄と弟 (秋元書房)
  • 1965年(昭和40年)・・・繭子ひとり (新潮社)
  • 1965年(昭和40年)・・・燃ゆる瞳 (東方社:イースト・ブックス)
  • 1967年(昭和42年)・・・熱い雪 (大光社:大光社文学叢書)
  • 1967年(昭和42年)・・・結婚 (文藝春秋 のち新潮文庫)
  • 1967年(昭和42年)・・・ひとり生きる麻子 (集英社:コバルト・ブックスのち文庫)
  • 1968年(昭和43年)・・・人生の名言名句 (有紀書房:ABC books)
  • 1969年(昭和44年)・・・現代騎士道 (文藝春秋:ポケット文春)
  • 1970年(昭和45年)・・・結婚の貌 (中央公論社 のち文庫)
  • 1970年(昭和45年)・・・剥製 (河出書房新社 「冬の狐火」集英社文庫)
  • 1970年(昭和45年)・・・夜の絵 (三笠書房のち集英社文庫)
  • 1970年(昭和45年)・・・風の旅 (文藝春秋のち角川文庫)
  • 1970年(昭和45年)・・・海の道 (文藝春秋 のち文庫)
  • 1970年(昭和45年)・・・初めての愛 (主婦の友社(Cherry books)
  • 1971年(昭和46年)・・・ユタとふしぎな仲間たち(新潮少年文庫のち講談社:青い鳥文庫)
  • 1971年(昭和46年)・・・春の舞踏 (文藝春秋のち文庫)
  • 1971年(昭和46年)・・・ひとりを愛するなら 絶対からの出発(青春出版社)
  • 1971年(昭和46年)・・・おりえんたる・ぱらだいす(文藝春秋)
  • 1971年(昭和46年)・・・おふくろの妙薬 (三月書房)
  • 1971年(昭和46年)・・・夕雨子 (講談社 のち文庫)
  • 1971年(昭和46年)・・・青春相談室 (秋元書房)
  • 1972年(昭和47年)・・・妻の橋 (新潮社)
  • 1972年(昭和47年)・・・水の中の神話 (角川書店『湖影』(1963刊)の加筆改題:のち文庫)
  • 1972年(昭和47年)・・・まぼろしの橋 (文藝春秋 のち文庫)
  • 1973年(昭和47年)・・・笹舟日記 (毎日新聞社のち新潮文庫)
  • 1973年(昭和47年)・・・旅の手帖 (文藝春秋)
  • 1973年(昭和47年)・・・真夜中のサーカス(新潮社のち文庫)
  • 1974年(昭和48年)・・・駱駝の夢 上下巻 (新潮社)
  • 1974年(昭和48年)・・・踊子ノラ (講談社 のち文庫)
  • 1974年(昭和48年)・・・宇曽利湖心中 (文化出版局)
  • 1975年(昭和49年)・・・ちぎれ雲 (文藝春秋)
  • 1975年(昭和49年)・・・せんべの耳 (講談社)
  • 1976年(昭和50年)・・・拳銃と十五の短篇 (講談社 のち文庫、文芸文庫)
  • 1976年(昭和50年)・・・ふるさと紀行 (毎日新聞社 のち旺文社文庫)
  • 1977年(昭和51年)・・・オランダ帽子 (新潮社 のち講談社文芸文庫)
  • 1977年(昭和51年)・・・素顔 (朝日新聞社 のち講談社文庫、朝日文庫)
  • 1977年(昭和51年)・・・三浦哲郎短篇小説全集 (全3巻 講談社)
  • 1978年(昭和52年)・・・スペインの酒袋 (ロングセラーズ(あまカラ選書)のち旺文社文庫)
  • 1978年(昭和52年)・・・柿の蔕 (あすなろ社)
  • 1978年(昭和52年)・・・三浦哲郎自選短編集 (読売新聞社 )
  • 1979年(昭和53年)・・・愛しい女 (新潮社 のち文庫)
  • 1979年(昭和53年)・・・しづ女の生涯 小説集 (実業之日本社 のち集英社文庫)
  • 1979年(昭和53年)・・・驢馬の鈴 (文藝春秋 のち文庫)
  • 1979年(昭和53年)・・・木馬の騎手 (新潮社 のち文庫)
  • 1979年(昭和53年)・・・野の祭 (毎日新聞社)
  • 1979年(昭和53年)・・・十五歳の周囲 (成瀬書房 )
  • 1980年(昭和54年)・・・林檎とパイプ 父と娘の往復書簡 (三浦晶子共著 文藝春秋 )
  • 1980年(昭和54年)・・・冬の雁(文藝春秋 のち文庫)
  • 1980年(昭和54年)・・・回想のある風景 (鎌倉書房 )
  • 1981年(昭和55年)・・・娘たちの夜なべ (新潮社)
  • 1982年(昭和56年)・・・少年讃歌 (文藝春秋 のち文庫)
  • 1982年(昭和56年)・・・はまなす物語 (講談社 のち文庫)
  • 1982年(昭和56年)・・・おろおろ草紙 (講談社のち文庫、文芸文庫)
  • 1983年(昭和57年)・・・暁闇の海 (文藝春秋 )
  • 1983年(昭和57年)・・・蟹屋の土産 (福武書店 のち文庫)
  • 1983年(昭和57年)・・・母の肖像 短篇名作選 (構想社 )
  • 1984年(昭和58年)・・・旅雁の道草 (講談社)
  • 1984年(昭和58年)・・・白夜を旅する人々 (新潮社のち文庫)
  • 1985年(昭和59年)・・・春の夜航 (随筆集 講談社 )
  • 1987年(昭和61年)・・・下駄の音 (随筆集 講談社 のち文庫)
  • 1987年(昭和61年)・・・モーツァルト荘 (新潮社 のち文庫)
  • 1987年(昭和61年)・・・三浦哲郎自選全集 (全13巻 新潮社)
  • 1988年(昭和62年)・・・ふれあい散歩道 三浦哲郎とともに (デーリー東北新聞社)
  • 1989年(平成元年)・・・愁月記 (新潮社 のち文庫)
  • 1990年(平成2年)・・・一尾の鮎 (随筆集 講談社 )
  • 1991年(平成3年)・・・自作への旅 (デーリー東北新聞社 :「雪の音雪の香り」新潮文庫)
  • 1991年(平成3年)・・・みちづれ(短篇集モザイク 1) (新潮社のち文庫)
  • 1992年(平成4年)・・・曠野の妻 (講談社のち文庫)
  • 1992年(平成4年)・・・思い出ひとつ (石英文庫:エッセイ絵本)
  • 1993年(平成5年)・・・夜の哀しみ (上下 新潮社 のち文庫)
  • 1994年(平成6年)・・・時のせせらぎ 若き日の追想紀行 (講談社)
  • 1994年(平成6年)・・・母 文集(世界文化社)
  • 1994年(平成6年)・・・ふなうた(短篇集モザイク 2) (新潮社 のち文庫)
  • 1996年(平成8年)・・・百日紅の咲かない夏 (新潮社 のち文庫)
  • 1999年(平成11年)・・・狐のあしあと (随筆集 講談社 )
  • 2000年(平成12年)・・・わくらば(短篇集モザイク 3) (新潮社のち文庫)
  • 2001年(平成13年)・・・母の微笑 (随筆集 講談社 )
  • 2002年(平成14年)・・・いとしきものたち (世界文化社 )
  • 2005年(平成17年)・・・恩愛 (世界文化社 )
  • 2010年(平成22年)・・・おふくろの夜回り (文藝春秋 )
  • 2010年(平成22年)・・・完本 短篇集モザイク (新潮社 )
  • 2010年(平成22年)・・・師・井伏鱒二の思い出 (新潮社 )

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